親知らずの抜歯・移植
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下総中山アール歯科ではできる限り親知らずも保存する方針です
下総中山アール歯科では、できるだけ天然歯を抜かないことをモットーに日々診療を行っており、抜歯されることの多い親知らずもできるだけ、保存するように心がけております。世間的にも親知らずは必ず抜く歯だと思われていますが、正常に生えて健康を維持できるのであれば、将来歯を失った際に有効活用できる可能性があるため、保存しておくべきだと考えています。
現在、ご自身の親知らずがどうのような状態か分からない方は、ぜひ一度当院にて親知らずの診断をお受けください。将来のことも考慮し、適切な診断をいたします。
歯を失った際の第4の選択肢「親知らずの移植」について
歯を失った際の咬み合わせの修復には、インプラントや入れ歯、ブリッジなどが一般的ですが、健康な親知らずが残存している場合には、「自牙歯牙移植」という方法も選択肢として存在します。親知らずの移植は、いくつかの条件が必要となりますが、ご自身歯ですので人工物に比べて馴染みが良く、以前の歯と変わらない感覚で生活していただけるのが大きなメリットです。
健康な親知らずが残存している場合の活用法
- 歯を抜歯となった際などに、その場所に親知らずを移植することで咬み合わせの修復ができます。
- 親知らずの前方の歯を失った場合には、矯正治療で親知らずを移動させることで咬み合わせを修復できます。
- 親知らずの前方の歯を失った場合に、親知らずを支柱にしてブリッジで咬み合わせを修復すできます。
親知らずの移植の簡単な流れ
- ① 保存することが不可能な歯を抜歯します
- ② 健康な親知らず(移植する歯)を抜歯します
- ③ ①の場所に抜歯した健康な親知らずを移植します
- ④ 親知らずを動かないようにワイヤーを使用して周りの歯と固定します
※約2週間程様子を見ましょう - ⑤ 親知らずの神経の処置をするため、根管治療を行います
- ⑥ 親知らずを移植した部分の骨が再生するのを待ちます
※骨の再生には約90日かかります - ⑦ 親知らずと土台の骨がしっかりくっついたらワイヤーを外します
- ⑧ 親知らずを綺麗に整えて、被せ物を装着して歯牙移植が終了です
MTM(小矯正)で親知らずを移動して咬み合わせを改善した症例
MTM(小矯正)によって親知らずを移動させ、奥歯の欠損部分の隙間・咬み合わせを改善した症例をご紹介いたします。
初診時の口腔内
初診時の口腔内写真とレントゲン写真です。右下7番目の歯がないため、歯と歯の間が大きく空いています。患者さまと相談し、MTM(小矯正)で親知らずを前方へ移動させる計画を立てました。
親知らずのMTM(小矯正)を実施
右下の奥歯に器具装着してゴムで引っ張り、少しずつ親知らずを前方へ移動させていきます。
親知らずのMTM(小矯正)開始から1ヵ月後
MTM(小矯正)開始から1ヵ月後の状態です。順調に親知らずが前方の歯に寄ってきていることが確認できます。
親知らずのMTM(小矯正)開始から3ヵ月後
MTM(小矯正)開始から3ヵ月後の状態です。月に一度のゴム交換時にて治療経過を観察。理想的な移動ができています。
親知らずのMTM(小矯正)開始から4ヵ月後/治療完了
治療完了時の口腔内写真、レントゲン写真です。親知らずが理想的な場所に移動し、骨吸収も認められません。想定されたリスクも問題なく、理想的な咬合を獲得することができました。
※下顎の親知らずの移動に伴い、上顎の親知らずは抜歯をしました。
親知らずの前方の歯を失った場合は、インプラントや入れ歯、ブリッジなどの治療法に加え、親知らずを移動させることによって、咬み合わせを回復することが可能です。
年齢/性別 | 40代/女性 |
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治療期間 | 4ヵ月 |
治療回数 | 7回 |
治療費 | 275,000円(税込) |
リスク/注意点 | ・近心傾斜(歯が移動ではなく倒れてしまう) ・過度な矯正力により骨が無くなってしまう可能性がある ・癒着によって歯が動かないことがある ・器具による外傷など |
抜歯することをおすすめする親知らずの症状について
下総中山アール歯科では、上記の通り親知らずであってもできるだけ保存を心がけております。しかし、口腔内環境を著しく悪化させる可能性がある場合においては、抜歯を推奨することもございます。抜歯を推奨する親知らずの代表的な症状をご紹介します。
歯並びに悪影響を及ぼす
親知らずが横向きに生え、前方の歯に接触している場合には注意が必要です。親知らずが前方の歯を少しずつ押しながら成長するため、将来的に咬み合わせや歯並びが乱れたり、歯根の吸収が起こることがあります。
虫歯や歯周病
親知らずはお口の一番奥に生えているため、お手入れがしづらいという理由から虫歯や歯周病の発症リスク・治療後の再発率が高くなります。疾患になっている場合には、お口全体の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性が高いため、抜歯を検討することとなります。
親知らず周辺が炎症を起こしている
歯茎に半分埋まっているような親知らずは、隙間などに汚れが溜まりやすく、その部分に細菌が繁殖して智歯周囲炎と呼ばれる炎症を引き起こします。炎症が悪化すると痛みが強くなり、排膿や開口障害・発熱など、さまざまな症状を伴うため、できるだけ早い段階での抜歯をおすすめします。
親知らず周辺に嚢胞がある場合
レントゲン撮影で親知らずの周辺に黒い影がある場合には、嚢胞と呼ばれる病気によって膿の袋が形成されている可能性があります。病気が進行すると顎骨内の神経を圧迫したり、痛みや腫れが強くなるため、症状が軽いうちに抜歯を推奨しております。
痛み・不安・リスクを抑えた親知らずの抜歯のために
下総中山アール歯科では、親知らずを抜くことになった場合でも、できるだけ患者さまに負担がかからないよう努めております。痛みをはじめ、精神的な負担やリスクを抑えるための対策をご紹介します。
CTを用いた事前の精密検査
難抜歯が予想される特殊な親知らずの症例では、親知らず周辺の顎骨や神経・血管など正確な位置や状態を把握する必要があるため、歯科用CTによる精密検査を実施いたします。
さらに、その情報を基にシミュレーションを行い、スムーズで的確な処置に努めています。
心身的負担の緩和
親知らずの抜歯を行う際には、麻酔注射を施しますのでほとんど痛みを感じることはありません。また、当院では苦手な方が多い麻酔注射も表面麻酔や極細針の使用など、さまざまな工夫を行い、痛みの緩和に努めております。
さらに、難抜歯の際に緊張や不安が強く現れた場合には、麻酔専門医が実施する「静脈内鎮静法」という麻酔法も取り揃えております。
親知らず抜歯後のトラブル(ドライソケット)を予防するための対策
親知らずの抜歯後に多いトラブルとして「ドライソケット」という症状があります。ドライソケットは、通常傷口を保護する働きがある血餅(ゼリー状の血)が体質によって形成されなかったり、うがいや歯磨きなどで剥がれ落ちることで傷口がむき出しとなり、激しい痛みを伴うというものです。
当院では、親知らずの抜歯の際に痛み止めの処方に加え、ドライソケットを予防するために抜歯窩にコラーゲンを充填する処置なども行っております。
過去にドライソケットになった方や不安な方は、事前にご相談いただければと思います。
下総中山アール歯科では、親知らずの特殊な症例で難抜歯が予想される場合、日本口腔外科学会認定医をお招きして治療を担当していただくことも可能です。これまでの難抜歯症例の経験を活かし、リスクを最小限に抑えた親知らずの抜歯を実施いたします。
日本口腔外科学会認定医による親知らずの抜歯をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
市川市で痛みの少ない親知らずの抜歯をご希望の方へ
下総中山アール歯科では、移植などの将来的な親知らずの有効活用法も考慮した上で、親知らずの保存・抜歯について適切な診断を実施しております。保存が難しく抜歯となった際にも、できるだけ痛みやリスクを抑え、スムーズな処置に努めております。市川市にて親知らずの抜歯や移植をご検討中の方はぜひ、当院までお気軽にご相談ください。