小児歯科で行うシーラント治療とは?効果や必要性、適したタイミングを解説
投稿日:2025年8月8日
カテゴリ:小児歯科
▼目次
1. 小児歯科で行うシーラント治療とは?
2. 子どもの歯になぜシーラント治療が必要?
3. 小児歯科における年齢別シーラント治療のタイミング
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
子どものむし歯予防において、「シーラント治療」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。乳歯から永久歯へと生え変わる時期は、歯磨きが不十分になりやすく、むし歯のリスクが高まると言われています。 シーラントは、むし歯を予防する有効な手段として小児歯科で広く行われている処置のひとつです。歯の溝をコーティングすることで、食べかすや汚れの付着を防ぎ、むし歯の発生リスクを抑える効果が期待されます。 今回は、シーラント治療の内容や必要性、適したタイミングについて解説します。
1. 小児歯科で行うシーラント治療とは?
シーラント治療とは、むし歯ができやすい歯の溝を特殊な樹脂でコーティングし、汚れがたまらないようにする予防処置です。生えたばかりの永久歯や乳歯は、歯の表面が未成熟で、むし歯菌の影響を受けやすい状態です。そのため、リスクが高い時期に行うことで、むし歯の発生を抑えるために有効とされています。 シーラント治療には、以下のような特徴があります。
①むし歯の予防に特化した処置
生えたての奥歯には深く細かい溝があり、歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢)が溜まりやすい構造をしています。シーラントでこの溝を埋めることにより、汚れやむし歯菌が入り込むのを防ぎ、むし歯の発生を抑える効果が期待できるでしょう。
②歯を削らない処置
シーラントはむし歯治療ではなく、むし歯にならないための予防処置のため、歯を削る必要がありません。健康な歯質を温存できるため、子どもの将来的な歯の健康維持にも役立つとされています。
③保険適用の対象となることが多い
年齢や歯の部位によっては保険適用となるため、経済的な負担を抑えてむし歯予防を行うことが可能です。
④予防効果の持続には限界がある
シーラントは時間の経過とともに摩耗や脱落が起こることがあり、効果を維持するには定期的なチェックが必要です。 むし歯を未然に防ぐという観点から、シーラントは子どもの口腔健康を守るための有効な予防手段のひとつとされています。
2. 子どもの歯になぜシーラント治療が必要?
むし歯は一度できてしまうと、自然に治ることはなく、治療が必要となります。そのため、予防がとても重要です。乳歯や生えたての永久歯は、むし歯になりやすく、進行も早いのが特徴です。シーラントは、初期むし歯の発生リスクを低減することが期待されています。
①生えたばかりの歯を守るため
6歳頃に生えてくる最初の永久歯(第一大臼歯)は、この時期、最もむし歯になりやすい歯です。他の歯よりも奥に位置するため磨き残しが多くなりやすく、生えたばかりの歯は未成熟なので、シーラント治療を行うことでむし歯のリスク軽減につながるとされています。
②歯の形状による汚れの蓄積予防
奥歯の溝は複雑な形をしており、歯ブラシだけでは完全に汚れを取りきるのが難しい形をしています。こうした溝をシーラントで埋めることで、物理的に汚れのたまり場を減らし、むし歯の発生を抑えやすくなると考えられています。
③むし歯の予防になる理由
シーラントには、歯の溝を物理的にコーティングするだけでなく、フッ素が徐々に放出されるタイプのものもあり、歯質の強化をサポートするとされています。治療に至らないように、予防を徹底することが大切です。
④むし歯治療への負担を軽減
むし歯が進行してからの治療には麻酔や削る処置が必要になり、子どもにとって大きな負担となります。予防的にシーラントを行うことで、そうしたストレスを避けやすくなるとされています。
⑤家庭での口腔ケアを補う
家庭での歯磨きだけで完全に予防するのは難しく、歯医者での定期的な管理と併用することで、むし歯の発生リスクをさらに下げられる可能性があります。 シーラント治療は、むし歯になりやすい子どもたちの歯を守るための予防手段のひとつとされています。
3. 小児歯科における年齢別シーラント治療のタイミング
シーラントはむし歯を予防する目的で行う処置であるため、実施するタイミングが重要です。歯が生えそろう時期やむし歯のリスクが高くなる年齢に合わせて、年齢別にシーラント治療の適応を検討します。
①6歳前後(第一大臼歯の萌出時)
この時期は、最初の永久歯である「6歳臼歯(第一大臼歯)」が生え始めます。溝が深く、最もむし歯になりやすいため、シーラントの最初の適応時期として重視されます。この歯は一生使う大切な永久歯であり、生えたばかりの時期は歯質が未成熟で酸に弱いため、早めの処置が推奨される場合があります。
②7〜9歳(前歯の裏の溝・乳歯の深い溝への処置)
永久歯の前歯にもシーラントをすることがあります。裏側の溝が深い場合は、磨きにくく、汚れが残りやすいため、シーラントの対象となることがあります。また、むし歯になりやすい子どもや歯磨きが上手にできていないケースでは、乳歯への処置が予防的に行われる場合もあります。
③10〜12歳(第二大臼歯の萌出時)
この時期には、第二大臼歯(12歳臼歯)が生えてくることが多く、こちらもシーラントの対象となります。永久歯の中でも奥にあるため歯磨きがしづらく、早期に処置することで将来的なむし歯予防につながるとされています。
④むし歯リスクが高いと判断された場合は年齢に関係なく
年齢にかかわらず、むし歯の発生リスクが高いと歯科医師が判断した場合には、予防処置としてシーラントが施されることがあります。歯並びが悪く清掃性が低い場合や、唾液の分泌量が少ないなどの全身的要因も判断材料となることがあります。 子どもの成長とともに歯の状態は日々変化します。歯医者でのチェックを通じて、その時々で適切なタイミングを見極めることが、将来的なむし歯リスク軽減につながる第一歩になるでしょう。
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
千葉県市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科では、発育段階にあるお子さんの将来を見据えた小児歯科・小児矯正治療を提供しています。 子どもの心身的な負担に配慮しながら、親御さんのお考えや子どもの成長、口腔内の状態を考慮した適切な治療法のご提案に努めています。
①乳歯(子どもの歯)・生え変わったばかりの永久歯(大人の歯)のむし歯予防
むし歯予防の基本はお家でのセルフケアです。お子さんご自身が正しい歯磨きが行えるようレクチャーを行います。また親御さんへ仕上げ磨きのコツや効果的な歯科用品のアドバイスを行っています。 子どもの歯自体をむし歯菌からバリアするためにフッ素塗布やシーラント充填(奥歯の溝を埋める処置)も行っています。
②正常な成長を促して歯並びを改善する小児の「顎顔面矯正」
顎顔面矯正とは、顎(あご)や顔面の骨格のバランスを整える治療のことです。一般的な歯列矯正が「歯をきれいに並べる」ことを目的とするのに対し、顎顔面矯正は「顎の成長や骨格全体の調和を改善する」ことを目的としています。
《顎顔面矯正の特徴》
1. 骨格レベルでの改善
上顎・下顎の位置や大きさのバランスを整える
歯並びだけでなく、顔の非対称や咬み合わせのズレを改善
2. 成長期の子どもを対象にすることが多い
成長を利用して骨格の発育をコントロールできる
早期治療(5~12歳ごろ)により、抜歯や外科手術のリスクを減らせる
3. 成人にも適応される
顎変形症などの場合は、外科手術(外科的矯正)と併用することが多い
成人矯正ではスプリントや外科矯正を組み合わせることもある
《具体的な治療方法》
・急速拡大装置(RPE):上顎を広げるための装置
・フェイシャルマスク:上顎の前方成長を促す
・機能的矯正装置:下顎の成長を誘導
《顎顔面矯正が適応されるケース》
・上顎または下顎が前後的にずれている(出っ歯・受け口)
・顎が狭く、歯が並ぶスペースがない
・顔の左右非対称が気になる
・咀嚼や発音に問題がある
《顎顔面矯正のメリット・デメリット》
◎メリット
・顔全体のバランスが整う
・抜歯を回避できる可能性が高い
・呼吸や発音の改善にもつながる
✖ デメリット
・成長期を過ぎると効果が限定的
・矯正期間が長くなる場合がある
・痛みや違和感を伴うことがある
顎顔面矯正は、特に成長期の子どもにとって有効な治療法ですが、成人でも適応できるケースがあります。患者さんの骨格や症状に応じた適切な治療計画が重要です。
③MFT(口腔筋機能療法)
口腔筋機能療法「MFT」(Oral Myofunctional Therapy)とは、食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種トレーニングです。MFTを継続して行うことで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を直すことができます。特に指しゃぶりと舌癖は、MFTでの症状改善が期待できます。 当院は小児口腔発達不全学会の認定資格の「口腔機能支援士(ORFS)」の歯科衛生士が在籍し、導入時の指導説明からアクティビティの指導まで正しい知識の元、子どもの発育をサポートしています。
《使用する装置》
プレオルソ矯正:1時間程のトレーニングと就寝時のマウスピース矯正装着で効果が期待できる、子どもにかける負担をなるべく抑えた治療法です
詳細は以下サイトページをご覧ください。
小児歯科・小児矯正
まとめ
シーラント治療は、むし歯リスクの高い子どもの奥歯を守るために有効とされる予防手段です。歯が生えたばかりの時期に処置することで、むし歯の原因を物理的にブロックし、将来的な治療の負担を軽減できる可能性があります。 ただし、定期的なチェックや生活習慣の見直しなど、継続的なケアがなければ、十分な予防効果が得られないこともあります。 市川市・下総中山周辺で小児歯科やシーラント治療をご検討の方は、下総中山アール歯科までお気軽にご相談ください。
監修:下総中山アール歯科 院長 若林 孝宏
略歴
- 2007年 明海大学歯学部 卒業
- 神奈川歯科大学臨床研修
- 某県法人 勤務
- 某県法人チーフドクター
- 某県法人副院長
- 都内法人副院長
- 2018年 下総中山アール歯科 開業
所属学会・資格
- 日本歯科医師会
- 千葉県歯科医師会
- 市川市歯科医師会
- 日本顎咬合学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本顎関節学会
- 日本顕微鏡学会
- 日本メタルフリー学会、他
- 歯科医師臨床研修 指導医
- 市川市立新井小学校 校医
- ペリソルブ・カリソルブ認定医
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