子どもは虫歯になりやすい?小児歯科でできる予防法
投稿日:2025年8月7日
カテゴリ:小児歯科
▼目次
1. なぜ子どもは大人より虫歯になりやすいの?
2. 虫歯をそのままにするとどうなる?大人の虫歯との違い
3. 小児歯科で考える虫歯予防の習慣
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
「しっかり磨いているはずなのに、また虫歯ができていた」そんな経験をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。子どもの虫歯は進行が早く、見逃してしまうと短期間で悪化することもあります。その一方で、正しい予防習慣を取り入れることで、虫歯のリスクを下げることも可能です。今回は、小児歯科の視点からなぜ子どもは虫歯になりやすいのか、大人との違い、そして日常生活に取り入れやすい予防のポイントについて解説します。
1. なぜ子どもは大人より虫歯になりやすいの?
子どもの虫歯は、大人に比べて発生しやすく、進行が早い傾向があるとされています。なぜ子どもが虫歯になりやすいのか、その理由をしっかり理解して予防に取り組みましょう。
①乳歯はやわらかく溶けやすい
乳歯はエナメル質(歯の表面を覆うかたい組織)が薄く、その内側にある象牙質(やわらかい組織)までの距離も短いため、酸に対する抵抗力が弱いとされています。そのため、虫歯菌による影響を受けやすく、進行も速くなります。
➁歯列が完成しておらず、清掃が難しい
生えたばかりの歯や隙間の多い歯列は、食べかすがたまりやすく、磨き残しも起きやすい状態です。ブラッシングの技術が未熟な時期は特に注意が必要です。
➂自分でのケアが不十分になりがち
子ども自身で歯磨きを行う際には、歯ブラシの角度や動かし方が不十分であることが多く、細かい部分に汚れが残る傾向があります。そのため、仕上げ磨きは欠かせません。
これらの要因が重なり合って、子どもは虫歯のリスクが高くなります。成長段階に合わせたケアと、家庭でのサポートが不可欠です。また、口の中の状態は年齢とともに変化するため、定期的な歯科医院でのチェックを通じて、その時々に合った対策をしていくことが大切です。
2. 虫歯をそのままにするとどうなる?大人の虫歯との違い
子どもの虫歯は大人と比べて「症状の進み方」や「治療の影響」に違いがあります。ここではその違いと、虫歯を放置した場合のリスクについて整理します。
①進行スピードが早い
乳歯は構造上、酸に弱く溶けやすいため、虫歯が発生すると短期間で広がりやすい傾向があります。初期段階でも数週間で象牙質(歯の内部にあるやわらかい層)まで達することがあります。
➁痛みなどの自覚症状が出にくい
子どもは痛みに対する感覚が鈍かったり、うまく伝えられなかったりすることがあり、症状に気づきにくいことがあります。見た目に変化がなくても注意が必要です。
➂放置すると噛む機能が低下する
虫歯を放っておくと、噛むことを嫌がって食事を避けたり、片側だけで噛む癖がついたりして、噛み合わせに影響が出る可能性があります。栄養摂取や顎の発育にも影響を及ぼすことがあります。
さらに、乳歯が虫歯で早く抜けたり形が崩れたりすると、後から生える永久歯が正しい位置に並ぶためのスペースが不足し、歯並びが乱れる原因になる可能性もあります。 子どもの虫歯は大人の虫歯以上に進行が早く、将来の歯並びや噛み合わせにも影響を及ぼすことがあります。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。
3. 小児歯科で考える虫歯予防の習慣
子どもの虫歯予防は、特別なことではなく、毎日の生活習慣の中に自然に組み込むことがポイントです。難しいことを続けるよりも、家族でできる小さな工夫の積み重ねが予防につながります。
①仕上げ磨きの習慣を続ける
子ども自身の歯磨きだけでは、どうしても磨き残しが発生しやすいため、保護者による仕上げ磨きはとても重要です。小学校低学年頃までは毎晩1回、奥歯や歯と歯のすき間など、見えにくい部分を意識して磨いてあげましょう。
➁間食の回数と時間を決める
甘いお菓子やジュースなど、糖分を含むものを頻繁に摂ると、虫歯菌が酸を出す時間が増え、歯が溶けやすくなります。おやつの時間を決め、だらだら食べを避けるだけでも、虫歯のリスクを減らせる可能性があります。
➂フッ素入り歯磨き剤を使う
家庭でのセルフケアとして、フッ素(歯のエナメル質を強化する成分)配合の歯磨き剤を使うことで、再石灰化(溶けた歯の表面が修復される仕組み)を助けることが期待されます。年齢に合った濃度のものを選び、少量でも毎日継続して使うことが大切です。
さらに、数か月ごとの定期的な歯科検診を通じて、虫歯の早期発見や歯磨き指導、フッ素塗布などの予防処置を受けることも効果的です。特別な道具や技術がなくても、日常生活の中で虫歯予防の意識を高めることは十分に可能です。家庭と歯科医院が協力して取り組むことで、子どもの歯の健康維持に役立つ適切なケアを継続しやすくなるでしょう。
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
千葉県市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科では、発育段階にあるお子さんの将来を見据えた小児歯科・小児矯正治療を提供しています。 子どもの心身的な負担に配慮しながら、親御さんのお考えや子どもの成長、口腔内の状態を考慮した適切な治療法のご提案に努めています。
①乳歯(子どもの歯)・生え変わったばかりの永久歯(大人の歯)のむし歯予防
むし歯予防の基本はお家でのセルフケアです。お子さんご自身が正しい歯磨きが行えるようレクチャーを行います。また親御さんへ仕上げ磨きのコツや効果的な歯科用品のアドバイスを行っています。 子どもの歯自体をむし歯菌からバリアするためにフッ素塗布やシーラント充填(奥歯の溝を埋める処置)も行っています。
②正常な成長を促して歯並びを改善する小児の「顎顔面矯正」
顎顔面矯正とは、顎(あご)や顔面の骨格のバランスを整える治療のことです。一般的な歯列矯正が「歯をきれいに並べる」ことを目的とするのに対し、顎顔面矯正は「顎の成長や骨格全体の調和を改善する」ことを目的としています。
《顎顔面矯正の特徴》
1. 骨格レベルでの改善
上顎・下顎の位置や大きさのバランスを整える
歯並びだけでなく、顔の非対称や咬み合わせのズレを改善
2. 成長期の子どもを対象にすることが多い
成長を利用して骨格の発育をコントロールできる
早期治療(5~12歳ごろ)により、抜歯や外科手術のリスクを減らせる
3. 成人にも適応される
顎変形症などの場合は、外科手術(外科的矯正)と併用することが多い
成人矯正ではスプリントや外科矯正を組み合わせることもある
《具体的な治療方法》
・急速拡大装置(RPE):上顎を広げるための装置
・フェイシャルマスク:上顎の前方成長を促す
・機能的矯正装置:下顎の成長を誘導
《顎顔面矯正が適応されるケース》
・上顎または下顎が前後的にずれている(出っ歯・受け口)
・顎が狭く、歯が並ぶスペースがない
・顔の左右非対称が気になる
・咀嚼や発音に問題がある
《顎顔面矯正のメリット・デメリット》
◎メリット
・顔全体のバランスが整う
・抜歯を回避できる可能性が高い
・呼吸や発音の改善にもつながる
✖ デメリット
・成長期を過ぎると効果が限定的
・矯正期間が長くなる場合がある
・痛みや違和感を伴うことがある
顎顔面矯正は、特に成長期の子どもにとって有効な治療法ですが、成人でも適応できるケースがあります。患者さんの骨格や症状に応じた適切な治療計画が重要です。
③MFT(口腔筋機能療法)
口腔筋機能療法「MFT」(Oral Myofunctional Therapy)とは、食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種トレーニングです。MFTを継続して行うことで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を直すことができます。特に指しゃぶりと舌癖は、MFTでの症状改善が期待できます。 当院は小児口腔発達不全学会の認定資格の「口腔機能支援士(ORFS)」の歯科衛生士が在籍し、導入時の指導説明からアクティビティの指導まで正しい知識の元、子どもの発育をサポートしています。
《使用する装置》
プレオルソ矯正:1時間程のトレーニングと就寝時のマウスピース矯正装着で効果が期待できる、子どもにかける負担をなるべく抑えた治療法です
詳細は以下サイトページをご覧ください。
小児歯科・小児矯正
まとめ
子どもの虫歯は、大人よりも発生しやすく進行も早いとされています。放置することで永久歯の歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすこともあり、早期の対応と日常的な予防が大切です。 家庭でできる虫歯予防としては、仕上げ磨きや間食の管理、フッ素入り歯磨き剤の使用が効果的でしょう。さらに、定期的な歯科検診を受けることで、虫歯の早期発見や、小児歯科による専門的なケアや指導を受けることが可能です。 市川市・下総中山エリアで小児歯科や予防歯科に関心のある方は、下総中山アール歯科までご相談ください。
監修:下総中山アール歯科 院長 若林 孝宏
略歴
- 2007年 明海大学歯学部 卒業
- 神奈川歯科大学臨床研修
- 某県法人 勤務
- 某県法人チーフドクター
- 某県法人副院長
- 都内法人副院長
- 2018年 下総中山アール歯科 開業
所属学会・資格
- 日本歯科医師会
- 千葉県歯科医師会
- 市川市歯科医師会
- 日本顎咬合学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本顎関節学会
- 日本顕微鏡学会
- 日本メタルフリー学会、他
- 歯科医師臨床研修 指導医
- 市川市立新井小学校 校医
- ペリソルブ・カリソルブ認定医
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