小児歯科で抜歯を行うことはある?抜歯が必要なケースと方法
投稿日:2025年7月2日
カテゴリ:小児歯科
▼目次
1. 小児歯科で抜歯を行うことある?抜歯が必要なケースとは
2. 小児歯科で抜歯を行う際の方法
3. 小児歯科で抜歯をした後のケア方法
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
子どもの歯がぐらついたり、なかなか抜けなかったりすると、「これは歯医者で抜いてもらうべき?」と悩む親御さんは少なくありません。乳歯は本来、自然に抜けて永久歯へと生え変わるものですが、すべてがスムーズに進むとは限りません。成長や歯の状態によっては、歯科医師による抜歯が必要になるケースもあります。そこで今回は、小児歯科で実際に抜歯を行うケースやその理由、抜歯の方法について解説します。正しい知識を持っておくことで、子どもの歯の健康を守るための判断がしやすくなるでしょう。
1. 小児歯科で抜歯を行うことある?抜歯が必要なケースとは
小児歯科においても、必要に応じて抜歯を行うことがあります。大人と違い、子どもの歯は成長途中にあるため、乳歯の自然な生え代わりを基本としながらも、治療や成長促進の一環として抜歯が選択されることがあります。
①自然に抜けない乳歯がある場合
通常、乳歯は6歳頃から12歳頃にかけて自然に抜けていきますが、永久歯が生えてきても乳歯が残っている場合は、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えるおそれがあるため、抜歯を検討する場合があります。
➁むし歯や外傷で保存が難しい乳歯
むし歯が進行して神経まで達している、あるいは転倒などで歯が折れてしまった時、保存が難しいと判断された場合には抜歯が必要になることがあります。
➂過剰歯や位置異常の歯がある場合
まれに、乳歯列や永久歯列に余分な歯(過剰歯)が生えることがあります。これが原因で正常な歯が生えてこないことがあり、歯並びに支障をきたす場合、抜歯が選択されます。
④矯正治療の一環としての抜歯
歯列矯正を行う場合、永久歯のスペース確保のために乳歯の抜歯が行われることもあります。将来の歯並びや噛み合わせのために必要な措置です。
⑤感染や腫れの原因になっている歯
歯の根に炎症がある、膿がたまっているなど、感染の温床になっている乳歯は、健康な歯に悪影響を及ぼす前に抜歯が適応される場合があります。 このように、小児歯科でも状況に応じて抜歯は行われますが、常に子どもの成長や口腔内の発達を優先しながら慎重に判断されています。
2. 小児歯科で抜歯を行う際の方法
小児歯科で抜歯を行う場合は、子どもの年齢や歯の状態に応じて、心身の負担を最小限に抑えるための配慮がなされます。基本的な手順は大人と似ていますが、より丁寧なコミュニケーションと準備が重要になります。
①事前説明と心の準備
まずは、子ども自身に対して「これから何をするのか」を年齢に合わせた言葉で丁寧に説明します。親御さんにも協力してもらい、不安や恐怖をできるだけ軽減します。無理に押さえつけたりするのではなく、信頼関係を築くことが重視されます。
➁局所麻酔による痛みの軽減
抜歯に際しては、局所麻酔を使用して痛みを感じにくくします。麻酔の注射前には、表面麻酔(塗り薬)を使用して針の刺激も抑えるなど、痛みを最小限にする工夫がなされます。
➂抜歯器具の選定と慎重な操作
専用の器具を使って歯を丁寧にゆすり、根を傷つけないように注意しながら抜歯します。乳歯は根が細く折れやすいため、歯科医師の繊細な技術が求められます。
④抜歯後の止血と経過観察
抜歯後は、ガーゼを軽く噛んで止血を促します。通常、数分で出血は落ち着きますが、場合によってはもう少し時間がかかることもあります。止血後、出血の状態や痛みがないかを確認し、保護者へ経過観察のポイントを説明します。
⑤鎮痛薬や抗菌薬の処方(必要に応じて)
腫れや痛みが予想される場合には、子ども向けの鎮痛薬や抗菌薬が処方されることがあります。適切な服用と経過観察が必要です。⑥治癒状況の確認とアフターケア
数日後に再診を行い、傷口の治癒状況や感染の有無を確認します。また、抜歯後の永久歯の生え方や歯並びに問題がないかをチェックすることもあります。 子どもにとって抜歯は不安な経験ですが、丁寧な対応と的確な処置によって、心身の負担を軽減しながら治療が進められます。
3.小児歯科で抜歯をした後のケア方法
子どもが歯科医院で抜歯を受けた後は、自宅でのケアが非常に重要です。適切なアフターケアを行うことで、治癒を促進し、トラブルのリスクを軽減できます。ここでは、抜歯後のケアで特に注意すべきポイントを整理してご紹介します。
①止血後の安静と適切な過ごし方
抜歯直後は、ガーゼをしっかり噛んで止血を行います。出血が止まった後も、少なくとも2〜3時間は激しい運動や外遊びを控え、安静に過ごすことが大切です。血流が増えるような行動は、再出血を引き起こす可能性があります。
➁食事の工夫と注意点
抜歯当日は、冷たく柔らかい食べ物を選ぶようにし、熱い料理やスパイスの強い食べ物は避けてください。例としては、プリン、ヨーグルト、おかゆ、うどんなどが適しています。また、抜歯した側では噛まないよう気を付けることもポイントです。
➂口腔内の清潔を保つ方法
当日の歯磨きは、抜歯部位を避けてやさしく行うようにします。翌日以降も、抜歯した部分を傷つけないように注意しながら、全体の口腔内を清潔に保ちます。強いうがいや洗口剤の使用は控え、自然治癒を妨げないようにしましょう。
④痛みや腫れへの対応
軽い痛みや腫れは自然な反応であり、通常は数日でおさまります。処方された鎮痛薬や抗生物質は、指示通りに服用してください。腫れが強い、熱が出る、痛みが長引くなどの症状が見られた場合は、すぐに歯医者へ連絡しましょう。
⑤出血が続く場合の対応
通常、抜歯後の出血は10〜30分ほどで止まりますが、それ以上続く場合は、再度清潔なガーゼを噛んで圧迫止血を試みます。それでも止まらない場合や、唾液に混じって長時間血が見られる場合は、歯科医師の診察が必要です。
⑥抜歯後の経過観察と定期受診
抜歯部位の治癒を確認するために、歯医者での再診が推奨されます。また、乳歯の抜歯後には、永久歯が正しく生えてくるかを定期的にチェックすることが大切です。歯列の乱れや噛み合わせの異常が見られた場合には、早期の矯正治療の検討も必要になります。 正しいケアを行うことで、抜歯後のトラブルを予防しやすくなり、子どものお口の健康維持に役立ちます。 親御さんのサポートが、スムーズな治癒を支える大切なポイントとなります。
4. 市川市 下総中山の歯医者 下総中山アール歯科の小児歯科・小児矯正
千葉県市川市 下総中山・本八幡の歯医者 下総中山アール歯科では、発育段階にあるお子さんの成長段階に応じた小児歯科・小児矯正治療に取り組んでいます。 子どもの心身的な負担に配慮しながら、親御さんのお考えや子どもの成長、口腔内の状態を考慮した適切な治療法のご提案に努めています。
①乳歯(子どもの歯)・生え変わったばかりの永久歯(大人の歯)のむし歯予防
むし歯予防の基本はお家でのセルフケアです。お子さんご自身が正しい歯磨きが行えるようレクチャーを行います。また親御さんへ仕上げ磨きのコツや効果的な歯科用品のアドバイスを行っています。お子さんのむし歯リスクを低減するためにフッ素塗布やシーラント充填(奥歯の溝を埋める処置)などを行っています。
②正常な成長を促して歯並びを改善する小児の「顎顔面矯正」
顎顔面矯正とは、顎(あご)や顔面の骨格のバランスを整える治療のことです。一般的な歯列矯正が「歯をきれいに並べる」ことを目的とするのに対し、顎顔面矯正は「顎の成長や骨格全体の調和を改善する」ことを目的としています。
《顎顔面矯正の特徴》
1. 骨格レベルでの改善
上顎・下顎の位置や大きさのバランスを整える
歯並びだけでなく、顔の非対称や咬み合わせのズレを改善
2. 成長期の子どもを対象にすることが多い
成長を利用して骨格の発育をコントロールできる
早期治療(5~12歳ごろ)により、抜歯や外科手術のリスクを減らせる
3. 成人にも適応される
顎変形症などの場合は、外科手術(外科的矯正)と併用することが多い
成人矯正ではスプリントや外科矯正を組み合わせることもある
《具体的な治療方法》
・急速拡大装置(RPE):上顎を広げるための装置
・フェイシャルマスク:上顎の前方成長を促す
・機能的矯正装置:下顎の成長を誘導
《顎顔面矯正が適応されるケース》
・上顎または下顎が前後的にずれている(出っ歯・受け口)
・顎が狭く、歯が並ぶスペースがない
・顔の左右非対称が気になる
・咀嚼や発音に問題がある
《顎顔面矯正のメリット・デメリット》
◎メリット
・顔全体のバランスが整う
・抜歯を回避できる可能性が高い
・呼吸や発音に配慮した治療が行われることもあります
✖ デメリット
・成長期を過ぎると効果が限定的
・矯正期間が長くなる場合がある
・痛みや違和感を伴うことがある
顎顔面矯正は、特に成長期の子どもにとって有効な治療法ですが、成人でも適応できるケースがあります。患者さんの骨格や症状に応じた適切な治療計画が重要です。
③MFT(口腔筋機能療法)
口腔筋機能療法「MFT」(Oral Myofunctional Therapy)とは、食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種トレーニングです。MFTを継続して行うことで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を改善するためのトレーニングを行っています。特に指しゃぶりと舌癖は、症状や成長段階に応じて、効果が見込まれる場合があります。 当院は小児口腔発達不全学会の認定資格の「口腔機能支援士(ORFS)」の歯科衛生士が在籍し、導入時の指導説明からアクティビティの指導まで正しい知識の元、子どもの発育をサポートしています。
《使用する装置》
プレオルソ矯正:1時間程のトレーニングと就寝時のマウスピース矯正装着で効果が見込まれる場合がある、お子さんの日常生活との両立にも配慮した治療法です。
詳細は以下サイトページをご覧ください。
小児歯科・小児矯正
まとめ
小児歯科での抜歯は、すべての子どもに必要なわけではありませんが、むし歯や永久歯の生え方、歯列矯正の計画などに応じて、必要と判断されることがあります。抜歯は痛みや不安を伴う処置ですが、適切な方法とケアを行えば安全に進めることが可能です。抜歯後の経過観察や永久歯の成長確認も含めて、歯医者との継続的な連携が重要です。 市川市・下総中山周辺で小児歯科、子どもの抜歯についてお悩みの方は、下総中山アール歯科までお問い合わせください。
監修:下総中山アール歯科 院長 若林 孝宏
略歴
- 2007年 明海大学歯学部 卒業
- 神奈川歯科大学臨床研修
- 某県法人 勤務
- 某県法人チーフドクター
- 某県法人副院長
- 都内法人副院長
- 2018年 下総中山アール歯科 開業
所属学会・資格
- 日本歯科医師会
- 千葉県歯科医師会
- 市川市歯科医師会
- 日本顎咬合学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本顎関節学会
- 日本顕微鏡学会
- 日本メタルフリー学会、他
- 歯科医師臨床研修 指導医
- 市川市立新井小学校 校医
- ペリソルブ・カリソルブ認定医
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